第399回 設楽ヶ原地方例会

日時:平成27年7月4日(土)
場所:設楽ヶ原歴史資料館講義室
参加者:会員、会友:3演武団体、地元研究者などのべ120名

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広い部屋もぎっしりの聴衆


I,「信長・勝頼の見た古戦場の地形と鉄炮のあと」

設楽ヶ原をまもる会 小林 芳春・織田昌彦氏

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1、二つの古戦場
① 二つの峡谷に挟まれた長篠城

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真ん中の部分が長篠城

② 信長の見た設楽ヶ原 なぜ途中の連吾川で武田軍を止めたか?
③勝頼の見た設楽ヶ原 なぜ相手の待つ連吾川へ新軍したか?
2、 連吾川の選択
地形の詳しい説明があり、我々は事前にそれらをまわっていたので、長篠城で大軍が戦闘できぬ状況を理解していた。

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地検によれば地形は以前のままだ

3、 鉄炮の闘いの跡
設楽が原では14個の鉛弾が出土している。中国製1、タイ国製1
長篠城では30個の弾丸が出土している。銅製のモノ1は99%の純度
(すでに当会例会では2回にわたり、出土弾丸のお話は聞いていたので略します。)

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展示されていた出土弾丸

地形、地理の研究はまだ続く。長篠城を囲む、鳶カ巣山奇襲など、双方で鉄炮が使われた戦闘後、連吾川に鉄砲隊の線を造り、信長、家康軍は勝頼軍と対峙した。そこに至る謎、なぜここで戦闘になったか、その研究の重要要素のひとつであるからだ。

II,「鳶ケ巣山砦奇襲、陥落の衝撃」

新城市設楽ヶ原歴史資料館 主任学芸員 湯浅 大司氏

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資料にみる鳶ケ巣山奇襲攻撃は、

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湯浅氏

『信長公記』の抜粋より説明されたが、同砦は長篠城を一望できる高台にあり、
武田軍の地理的優位性の象徴であった。実際には長篠城には5つの砦があり、
それらは武田軍に押さえられていた。君ケ伏戸、姥ケ懐、鳶ケ巣山、中山
(新東名高速道路工事にかかる)、九間山、いずれも名前をみて分かるように
極めてローカルな場所であっただろう。その中でも「鳶ケ巣山」は高地にあり
守り易い、攻め難いところであった。織田・徳川軍は4000名の奇襲隊を募り
明けがたこれを攻撃、鉄砲500挺を鹵獲した。これは武田軍にとっては衝撃的な敗戦であった。

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三河の地は、日本列島の中間にありこれを二分していると言っても過言ではない。しかも交通の要所は日本海側で狭く、また太平洋側も平地は狭い。現、豊川市のあたり、そして入りくんだ中間部から、奥三河(我々の宿泊した山地)が大部分だ。戦闘は押しあいへし合いし、海岸縁の平地から段々に山に上がって来た。そして上も抑えた。信長は恐らく、地理とか、どう圧力をかければ相手がどう動く、こういう分析と推察に掛けては戦術の天才であったのだろう。設楽ヶ原は、上でも下でもない中途半端なところで、相手の顔が見える状況で対峙した。言葉を変えれば信長の圧力で勝頼は、狭い、山と山の間、田圃が縦に広がる地形におびき寄せられたのが結果であろう。後の戦闘は引くに引けない勝頼の立場の暴発を待つだけだった。・・・と言うような地理、地形、そして戦略のお話を『信長公記』から解釈したものだった。
現場を観てきたばかりの我々にはとても理解し易い内容であった。

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資料館から馬防柵を観る狭い戦場

戦闘になる前には外交が必要だ。そのために残された数多くの文書、手紙は
歴史的な戦闘の背景をしるになくてはならないものだ。分析するに、勝頼は信長に「引きこまれて」しまった。

 

III,『戦国鉄炮戦の実像を求めて』

宇田川 武久

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講演の意図と概要
歴史的に鉄炮が日本にどのように入り、どのように広まり、そして運用されたかはまだ明らかでない部分があり、戦国時代の炮術修行や鉄炮に使われた弾丸に関しても多くの議論はあるが、決定的な結論はない。
戦国武士の炮術修行や鉄砲の弾に言及してない。このことからも炮術史の視点から明らかにすると、長篠合戦はもとより、戦国時代の鉄炮戦の実像が見えてくる。

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鉛鋳鍋

常識を覆す多様な弾丸
鉛の丸玉が一般的であるが、長篠の戦場からは様々な弾丸が出土している。「信長公記」には二つ玉の記述がある。織田家は代々「安見流」を採用し、同流には「くいしめ玉」
津田流「このくしくいしめ玉」
中条流「ねじ玉」
井上流「割玉」
南蛮流「連離の玉」
鉛材料だけでなく鉄、地を這う玉、水を切る玉、しろめ玉、など小田原城で発見されたさまざまな種類の玉は軍用と猟用に使われていた。

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用途により様々な玉を開発した戦国期の日本の流派の研究は重要である。
流派、そしてその運用、特に弾丸のことを知ることは日本の炮術の核にせまる。

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以上、(管理人記)

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