第397回日本銃砲史学会平成26年12月例会報告

12月13日第二土曜日に早稲田大学各務技術研究所に於いて実施された。
今回の特徴は銃砲史学会としては珍しく銃砲演題がなく、火薬、弾薬、
弾丸遺物などであったことだ。      (進行司会:峯田・須川)

会友を含め約35名が参加し、活発な質問が多く、懇親会(忘年会)には22名が参加した。

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参加者の様子


最初に宇田川理事長より、開会の辞と先回小田原城見学の際、講演された
「火縄銃弾丸類」実物は、理事長その後の研究で古文書より「稲富流」の特徴を有していることが報告された。

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宇田川理事長

演題1、「てつほう」研究会中間報告 公益社団法人日本煙火協会
検査所長 畑中 修二博士

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畑中氏


12世紀後半、日本への二度に渡る元寇。世界初の大規模な渡海による攻撃側多大の損害をこうむり撤退した。だが、日本側、鎌倉武士の活躍があったとは言え、元が使用した、「火薬兵器」は鎌倉側にも脅威を与えた。
その研究半ばではあるが、水中遺跡からの発掘された「てつほう」と言う武器と興味深い実験が内容であった。

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裏側に鉄板を張ったのでは


「てつほう」とは言え、磁器の直径14㎝ほど、空洞の丸玉。どのようにして投擲したか?日本でカタパルトなどの大型投擲兵器の使用があれば、何かの記録が残ったはず?どの程度装備されていたのか?威力は?鉄のものもあり、角のあるもっと重いものも他の会員から持ち込まれた。

さまざまな観点から構造と仕様の課題を残しつつ高度な研究であり、水中遺跡の新たな発見とともに現代人の観点で元寇を見直すテーマであろう。
また火薬はその時に日本人に知られていたはずであり、鉄砲伝来まで日本人が火薬を知らなかった、のは事実かと言う新しい疑問にも到達する。

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「てつほう」の予想図


火薬を入れる口と導火の孔は一緒であったか?

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実験

模型を造りの実験、果たして人体に損傷を与える威力があったか?

2、『火薬類通覧』から見た銃砲用火薬についてその2
日本火薬工業会 技術顧問 博士 栗原 洋一
栗原 洋一

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栗原氏


先回の『火薬類通覧』の説明の続きであった。
『火薬類通覧』より装薬の定義、銃猟の話、装弾の定義、装填機、など明治期の民間で使用された猟銃用弾薬に関する説明。

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現在の主に12番装弾、猟用、スポーツ用の構造とASK社の協力を得た製造工程の説明が主たる内容であった。
『日本産業火薬史』より完全な装弾になる歴史、ケース、雷管、火薬(無縁火薬は黒色火薬の約2.5倍の威力)を装薬量からの説明であった。

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『火薬類通覧』から弾丸類、散弾の重さ、送り(ワッズ)、クランプ(薬莢の頭の押さえ)、弾丸の効力、初速、性能、材料、散布(パターン)そして
ASK資料より銃身とチョーク(しぼり)とパターン、12番と20番の口径サイズによる差、ショットパターン、ショットリング、ショットコロンなど、
散弾銃弾薬の歴史と現在使われている散弾銃弾薬の総合説明であった。

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初期の包弾薬

3、大久保台場跡から出土の大砲片の自然科学的分析
東京都市大学 佐賀大学地域学歴史文化研究センター
博士平井 昭司氏

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「大砲片」と題目にあったが、正確には発射された鉄製丸型「砲弾片」の鉄質を分析した研究で、同氏は過去に何回か「分析」に関する発表を行った。

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佐賀藩は長崎防備の任を与えられていたが、大久保台場は海岸の砲台ではなく、
佐賀県北部の演習場にあった砲台のことである。砲を試験し、2km位先で砲弾片を採取した実物が幾つかあった。この砲弾は80ポンド砲の中空弾(炸裂弾)であり、1.6kgの皿状の破片の一部187gを切断し、自然科学的に分析した。

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元素の分析、金属組織、元素分布、金属組織の機械強度試験など。
つづいて化学分析を実施し、それらの結果の発表であった。

4、長篠・設楽原での鉄砲使用と出土玉
元新城市教育長
小林 芳春氏

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先回に引き続き、設楽原近辺で出土した鉛弾丸(恐らく長篠戦闘で織田・徳川軍と武田軍が使用したであろう)ものに、今回、石座と、長篠城で出土した新たな玉の説明であった。


最近新発売された新本
近隣地形が新東名高速道路建設のため若干変化する。道路工事に伴う、10個の
発見があった。また長篠城では銅の玉の発見があった。
① 「長篠」と「設楽原」について
② 「設楽原」の出土玉
③ 「長篠城址」発掘での出土玉
④ 「設楽原」の鉄砲使用は

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時代の変遷、河の流れが重要な意味がある

5、懇親忘年会 5時半より「かわうち」にて
22名参加し会話は弾んだ。

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なお、来年の見学会などはまだ計画が作られてないので、発表しなかった。
(以上、管理人記)

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記録開始日:2010年4月1日
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